判例・裁判例コラム

裁量労働制であれば生活リズムが整っていなくても復職できる?

東京地裁H29.11.30
出版社の編集職として裁量労働制で勤務する従業員が抑うつ症状により休職。休職命令の約5か月後に主治医は復職可能と診断した。
しかし、産業医が紹介した専門医が、従業員に「生活・睡眠表」を記載させて生活状況を確認したところ、全く睡眠をとっていない日が複数あるなど生活リズムが不規則なことがわかった。会社は復職不可と判断し、休職期間満了により退職扱いとした。これに対し、従業員は、裁量労働制のもとで定時の出退社は必須ではなく、配慮がされれば復職できたなどと主張した
→会社担当者が主治医に面談し、従業員が記載した生活・睡眠表を主治医に見せたところ、主治医は、通常の勤務はできないと思われる、出版社であるとはいえ午前10時くらいに出社すべきことは常識であると思われると述べ、判断を変更している。編集職としても、債務の本旨に従った労務を提供することができる程度にまで精神的な障害が回復したものということはできないから、会社の退職扱いにより雇用契約は終了したと判断

休職者が産業医の面談は圧迫面接だと主張した事案前のページ

ピックアップ記事

  1. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…
  2. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…
  3. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)
  4. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  5. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    職種限定合意がある従業員に対する配転命令

    最高裁R6.4.26社会福祉法人が福祉用具の改造・製作を行う技術者を…

  2. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)

    判例・裁判例コラム

    業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)

    事件の概要従業員が、会議への参加や業務の引き継ぎ等の業務命令…

  3. 判例・裁判例コラム

    日本語能力の不足を理由に外国人大卒者を解雇した事例

    東京地裁R5.12.1日本企業がペルー出身の大卒者を採用した…

  4. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.5.15)

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    20年以上勤続のドラッグストア店長が4201円の不正取得等により懲戒解雇された事…
  2. 判例・裁判例コラム

    小規模企業の整理解雇では役員報酬の削減が必要?
  3. 判例・裁判例コラム

    メンタル休職から復職して21か月後の秋田への転勤命令
  4. 判例・裁判例コラム

    先輩看護師の新人看護師に対する「人間的に無理」という発言はパワハラ?
  5. 判例・裁判例コラム

    雑に作成された退職時の秘密保持誓約書が無効と判断された例
PAGE TOP