判例・裁判例コラム

妊娠中でも解雇は有効?“違法ではない”とされた東京高裁の判断

東京高裁H28.11.24
会社が妊娠中の従業員を解雇
→会社は妊娠がわかる前から、再三、言葉遣いや態度を改めるよう注意し、改めない場合は会社を辞めるしかないと警告してきたにもかかわらず、従業員が改めなかったのであり、解雇は妊娠を契機とするものではない。均等法9条4項但書にあたり解雇有効。

妊娠中の解雇が有効とされた裁判例です。
一審の東京地裁は解雇無効としていましたが、東京高裁は解雇有効と判断しました。
東京高裁は、
①問題の従業員が他の職員らに対してしばしば怒鳴ったりきつい言葉遣いや態度をとったり、叱責するなどしており、これに対し他の職員らが強い不満やストレスを感じていたこと、
②そのために退職者が出るなどしていたこと、
③その他の職員らも問題の従業員の言葉遣い等を問題視し、会社代表者に対して繰り返し改善を求めていたこと、
④会社代表者は,口頭によるものとはいえ、再三にわたり、言葉遣いや態度等を改めるよう注意し、改めない場合には会社を辞めるしかないと指導、警告してきたこと、
⑤それにもかかわらず、問題の従業員反省して態度を改めることをしなかったこと、
⑥休暇を取得する際に事前に休暇届けを提出せず、自分宛の電話以外を取らず、他のほとんどの職員らに対してきちんとした挨拶もしなくなったこと
などを認定したうえで、解雇は妊娠したことを理由としてされたものではないことを会社が証明したものといえると判断しています。
本件では、懲戒処分や始末書の提出を求めるといった措置がとられていませんでした。
東京高裁はそれでも、「正社員12名,パート12名ほどの小規模な会社であり,これまで従業員の解雇はもとより,懲戒処分をしたことも,始末書を提出させたこともなかったことから,本件解雇に至る過程が十分に記録化・証拠化されていないことには致し方ない面がある」として解雇有効としましたが、この部分については必ずしも一般化できないように思います。
確実に解雇を有効と認めてもらうためには、小規模会社であっても、事前に懲戒処分は経ておくことが大切です。

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