判例・裁判例コラム

在宅勤務日のさぼり行為が発覚した場合に解雇できる?

東京地裁R4.11.4

モーターボートレースの情報提供サービス等を事業とする会社の上位管理職が在宅勤務日に勤務終了時刻より前に自宅を出て、令和2年8月26日は神宮球場から、9月23日は西武ドーム球場から業務終了報告を行っていたことが発覚。会社から指摘されても虚偽の弁解をした。他にも、業務と関係のないウェブサイトの長時間閲覧、勤務成績不良の問題あり。会社は就業規則で「勤務成績不良」や「懲戒解雇事由に該当したとき」を普通解雇事由と定めており、これらに該当するとしてこの管理職を普通解雇した。
→虚偽の業務終了報告を行ったのは上記2日間のみであり、これまでに在宅勤務の在り方について会社から注意指導を受けた経緯もなかったことに照らすと、初度目の違反といわざるを得ず、「懲戒解雇事由に該当したとき」の普通解雇事由にあたるということはできない。また、過去に懲戒処分を受けたことがなく、本件において懲戒解雇事由にあたることを前提に行った普通解雇は、その程度において過剰である。まずは他の懲戒処分を含めた人事上の措置を講じるべきであった。ウェブサイト閲覧についても、指導注意に関わらず同様の行為を繰り返したとまではいい難く、また会社秩序を乱し、重大な事故を発生させたり、著しく業務運営を妨害したりしたとまではいえない。勤務成績不良についても、会社から十分な注意指導はされておらず、業務遂行能力が役職に比して高いとはいえないものの、会社の指示、命令に従わず、著しく業務運営を妨げたとまではいえない。解雇は無効と判断

労働判例ジャーナル136号56ページ

就業規則に不備があれば退職金2回もらえる?前のページ

現勤務先の利益より、元勤務先への義理を優先してよい?次のページ

ピックアップ記事

  1. 【フリーランス保護法対応セミナー】契約書ひな形や支払サイトの見直し、相談窓口の整…
  2. 業務命令に応じない従業員への対応事例(東京地裁R5.11.15)
  3. 就業規則に降給の規定を置けば給与の減額は可能?(東京地裁R5.12.14)
  4. クレーム発生や不規則勤務・時間外労働がある場合の突然死は過労死?(宮崎地裁R6.…
  5. 労働時間を自己申告させていた会社における安全配慮義務違反の判断事例(宮崎地裁R6…

関連記事

  1. 判例・裁判例コラム

    精神疾患からの復職にあたり、配転命令を拒否する従業員への対応事例

    東京地裁R5.12.28東京本社勤務の従業員が仙台支店への配転を命じ…

  2. 判例・裁判例コラム

    35年以上続いた定期昇給を中止できる?

    東京地裁R5.10.30学校法人が35年以上行なってきた4月の定期昇…

  3. 判例・裁判例コラム

    試用期間中に逮捕・勾留された従業員を解雇した事案

    東京地裁R5.11.16建設会社に試用期間6か月、月給116…

  4. 判例・裁判例コラム

    診断書提出後もマスク着用を指示し続けたのは違法か?

    大阪地裁R5.5.22日本郵政株式会社がコロナ禍に郵便局職員にマスク…

  5. 判例・裁判例コラム

    PIP実施方法の問題点が指摘され、解雇が無効とされた事例

    東京地裁R6.3.18前職でデジタルマーケティングを…

アーカイブ

  1. 判例・裁判例コラム

    “休憩60分”が全部労働時間に!?割増賃金の支払命じた東京地裁R7.7.3
  2. 判例・裁判例コラム

    有期雇用労働者と無期雇用労働者の基本給格差が違法とされた事例
  3. 判例・裁判例コラム

    採用内定後のバックグランドチェックの結果に基づく内定取り消し
  4. 判例・裁判例コラム

    労災認定されて休業中の従業員の解雇
  5. 判例・裁判例コラム

    給与担当者が情報を他の職員に漏らしたことに対する叱責がパワハラにあたるとされた事…
PAGE TOP