東京高裁R7.7.24
税理士法人の職員2名が12月24日に退職の意思表示。
翌日、人事を担当していた税理士がこの2名に業務の引継ぎを求め、その条件について2名と話合いをした。
しかし、話合いがまとまらず、職員らは翌年1月7日に、12月24日から起算して14日が経ったとして退職し、翌日から出勤しなかった。
法人は職員らが繁忙期の1月に引継ぎ義務を履行しないまま同時退職したとして、この2名に損害賠償請求訴訟を提起。 就業規則には退職時に担当業務の引継ぎを義務付ける定めあり。
→一般的な引継義務はあるが、その内容は、法人または顧客を担当する税理士の指示に基づいて具体化される。
そのうえで、指示された引継業務が相当な内容であるにもかかわらず、労働者があえて履行しない場合に初めて違法性を帯びる。
本件では、1月7日の時点で引継義務の内容が具体的に定められていたとまではいえず、引継ぎをすべき義務があったとはいえない。賠償請求認めず。
退職後の損害賠償請求については以下でも解説していますので併せてご参照ください。
https://kigyobengo.com/media/useful/4011.html
企業側から見たポイント
退職時の引継ぎをめぐるトラブルについて参考になる判断が示されています。
退職者に引継ぎを義務付けるためには、就業規則に「退職するときは担当の業務を後任者に引き継ぐこと」などと書いているだけでは足りません。 退職時の状況を踏まえて、何を誰にどのように引き継ぐべきかを具体的に指示することがまず必要です。
そして、具体的に指示すればどのような内容でも義務になるわけではありません。退職までの期間などを踏まえて現実的に妥当な内容であることが必要です。
ポストの裁判例では、退職までの期間や退職の時期、退職の理由、後任者の事情、引継ぎ業務についての報酬額などから労働者が履行するのが相当な内容であるにもかかわらず、労働者があえて履行しない場合に初めて違法性を帯びる、とされました。





